研修に使える助成金の種類と申請方法【2026年最新】

この記事の結論
・人材開発支援助成金を活用すると、社員研修費用の最大75%(中小企業)が助成される

・2026年8月の改正により、汎用的なプロンプト研修・DXの概論は助成対象外となった。業務に直結した実践型研修として設計することが必要

・申請の最大のポイントは「計画届を研修開始の1ヶ月前までに提出」すること。この期限を1日でも過ぎると助成対象外になる

本記事では、2026年度に社員研修で使える助成金の種類・助成率・申請の流れを詳しく解説します。AI研修やDX研修での活用ポイント、よくある失敗事例も含めているので、人事・総務・経営企画の担当者はぜひ最後まで確認してください。本記事の情報は2026年10月時点の公式情報をもとにしています。

目次

研修に使える助成金とは?補助金との違いと活用メリット

社員研修に助成金を活用すると、研修費用の一部を国や自治体が負担してくれます。まず「助成金」と「補助金」の違いから整理しておきましょう。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金は混同されがちですが、仕組みが異なります。補助金は主に事業の立ち上げや設備投資を対象とし、公募・審査があり、採択されなければ受け取れません。一方、助成金は法律や規則で定められた要件を満たした企業が申請すれば(原則として)受け取れる制度です。社員研修に使える制度の大半は「助成金」に分類されます。採択率を気にせず、要件整備に集中できる点が助成金の大きな特徴です。

研修助成金を活用するメリット

研修助成金を活用する主なメリットは3点あります。

  • 費用の大幅削減:中小企業なら研修費用の最大75%が助成されるため、自己負担を25%まで抑えられる
  • 賃金助成も同時に受けられる:訓練中の賃金(1人1時間あたり最大1,000円)も支給されるコースがあり、間接コストも軽減できる
  • 継続的な人材育成が実現しやすくなる:コストが下がることで、1回限りではなく継続的な研修体制を組みやすくなる

社員研修で使える主な助成金3選【2026年度版】

2026年度時点で法人が社員研修に活用できる主な助成金を紹介します。全国対応の厚生労働省の制度と、東京都内企業向けの制度があります。

①人材開発支援助成金(全国・通年対応)

研修助成金の主力制度が、厚生労働省の「人材開発支援助成金」です。雇用保険適用事業所であれば全国どこでも、年間を通じて申請できます。AIリスキリングや業務スキルアップを対象とした複数のコースがあり、中小企業は経費の45〜75%を助成してもらえます。後述する「事業展開等リスキリング支援コース」はAI・DX研修に特に使いやすく、2026年現在多くの企業が活用しています。

人材開発支援助成金は「要件を満たせば受け取れる」助成金のため、公募の採択競争がありません。研修内容と実施体制を適切に整えれば申請できます。

②東京都DXリスキリング助成金(都内中小・中堅企業向け)

東京都が運営する「DXリスキリング助成金」は、都内の中小企業・中堅企業のDX推進を後押しする制度です。対象となる研修経費の4分の3(75%)が助成されます。IT・AI・データ活用分野の研修が主な対象のため、生成AI研修を計画している都内企業にとって使いやすい制度です。最新の募集要件・申請期間は東京都公式サイトでご確認ください(募集期間が設定されているため、事前確認が必要です)。

③東京都事業内スキルアップ助成金(社内研修向け)

東京都事業内スキルアップ助成金は、従業員のスキルアップのために社内で研修を実施する都内企業・団体に助成金を支給する制度です。東京しごと財団が運営しています。外部研修会社を使わず、社内講師を立てた自社研修でも対象になる点が特徴的で、コストをかけずに研修体制を整えたい企業に向いています。

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主力制度「人材開発支援助成金」の4コースと助成率

研修助成金の中で最も広く使われる「人材開発支援助成金」には、目的に応じて選べる4つの主要コースがあります。自社の研修目的に合ったコースを選ぶことが、申請成功の第一歩です。

コース①人材育成支援コース(スタンダードな訓練)

「人材育成支援コース」は最も標準的なコースで、職務に関連する知識・技能の習得を目的とした訓練が対象です。OFF-JT(通常業務を離れた研修)が主な対象で、実施時間は10時間以上が条件となります。OJT(職場内訓練)と組み合わせた「有期実習型訓練」にも対応しています。

区分経費助成率賃金助成(1人1時間)経費上限額
中小企業45〜75%800円(賃金要件充足で1,000円)10〜100h:15万円 / 100〜200h:30万円 / 200h〜:50万円
大企業30〜60%380円(賃金要件充足で500円)中小企業と同水準

コース②事業展開等リスキリング支援コース(AI・DX研修に最適)

「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業進出・デジタル化・環境対応など、企業の転換期に必要なスキル習得を支援するコースです。中小企業の場合、経費助成率が最大75%と他コースより高く設定されています。生成AIツールの業務活用研修やDXの実践研修はこのコースの対象になりやすいため、AI研修を計画している企業に特に推奨されます。

2026年8月改正の重要変更点:2026年8月3日以降に提出する計画届からは、「汎用的なプロンプト操作研修」「DXの概念・概論を学ぶだけの研修」は助成対象外となりました。特定の業務課題を解決する実践型のAI研修として設計することが必要です。

コース③人への投資促進コース(定額制eラーニング対応)

「人への投資促進コース」は、定額制(サブスクリプション型)の研修サービスを利用する企業に対応しています。eラーニングサービスを従業員に提供する企業でも活用できるコースです。ただし2026年度の改正により、eラーニングの上限額が中小企業では30万円から15万円に引き下げられ、最小学習時間も「1時間以上」から「10時間以上」に変更されました。対象サービスが助成対象かを事前に確認することが重要です。

コース④教育訓練休暇等付与コース

「教育訓練休暇等付与コース」は、従業員が自発的に学ぶ環境を整える企業を支援するコースです。就業規則に「教育訓練休暇制度」を導入することが受給要件となります。自己啓発を重視した職場環境づくりを推進したい企業に向いています。

助成金を活用したAI研修の比較・サービス選びについては、AI研修・講習おすすめ8選|費用相場と助成金活用法も参考にしてください。

人材開発支援助成金の申請の流れ【4ステップ】

助成金の申請は複数のステップがあり、手順を誤ると受給できない場合があります。全体の流れを把握したうえで、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

STEP1:社内制度の整備(事前準備)

申請前に社内体制を整える必要があります。具体的には、職業能力開発推進者の選任(従業員の職業能力開発を担当する社内窓口の設置)と、事業内職業能力開発計画の策定が求められます。これらが整っていないと、そもそも申請が受け付けられません。まだ未整備であれば、研修実施の計画と並行して整えましょう。

STEP2:訓練実施計画届の提出(研修開始6ヶ月〜1ヶ月前が期限)

研修を始める前に、ハローワーク(または都道府県労働局)へ「訓練実施計画届」を提出します。提出可能期間は研修開始の6ヶ月前〜1ヶ月前です。この期限を1日でも過ぎると、その研修は助成対象外になります。「研修を始めてから申請しよう」は絶対にNGです。研修内容の決定から計画届の提出まで、余裕のあるスケジュールを立てることが申請成功の最大のポイントです。

計画届の提出期限は「研修開始の1ヶ月前まで」が絶対ライン。カレンダーに提出期限を先に記入し、逆算してスケジュールを組むことを強くおすすめします。

STEP3:研修の実施・記録の保管

計画届が受理されたら、計画どおりに研修を実施します。実施記録(出勤簿・タイムカード・研修受講記録など)は支給申請の証明書類として必要になるため、漏れなく記録・保管してください。計画内容から変更が生じた場合は、事前に変更届を提出する必要があります。無断で変更すると助成対象外となるリスクがあります。

STEP4:支給申請書の提出(研修終了後2ヶ月以内)

研修終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。必要書類としては、訓練実績の証明書類(受講者名簿・研修実施記録・費用の支払証明など)が求められます。書類不備は差し戻しの原因になるため、チェックリストで事前に確認しておくことをおすすめします。

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AI・生成AI研修と助成金【2026年8月改正の注意点】

生成AIツールの業務活用を目的とした研修は、助成金を活用できる可能性があります。ただし2026年8月の改正で対象要件が変わったため、申請前に最新情報を確認することが必須です。

助成金の対象になるAI研修の条件

2026年8月以降の申請では、助成金の対象になるAI研修には以下の条件が求められます。

  • 業務課題と直結した内容であること:「自社の〇〇業務をAIで効率化する」などの実務目標が明確であること
  • 特定のスキル・技能の習得が目的であること:「ChatGPTの使い方全般」ではなく「営業資料作成への活用スキル習得」のように具体的であること
  • 実施時間が10時間以上であること:短時間の体験型ワークショップは対象外になりやすい

2026年8月改正で助成対象外になった研修内容

2026年8月3日以降に提出する計画届から、以下の内容を含む研修は助成対象外となりました。

  • 汎用的なプロンプト操作の研修(「ChatGPTに指示する方法」などの一般的な使い方研修)
  • DXの概念・概論を学ぶ研修(「DXとは何か」「AIとは何か」を学ぶだけのもの)
  • データ活用の考え方のみを学ぶ研修

つまり、「AIを知る」ための教養的な研修は対象外となり、「AIを使って業務を改善する」ための実践研修が助成の対象になります。研修設計の段階からこの点を意識することが重要です。

助成金を活用したAI研修を効果的に進めるために

助成金申請に適したAI研修を設計するには、研修の目標を「業務効率〇%向上」「〇〇業務の工数削減」のように具体的な数値目標で設定し、研修カリキュラムがその目標達成に向けて設計されていることを明示することが重要です。また、対象職種・部門を限定して「何の業務でAIを使うか」を研修計画書に明記すると、助成対象と認められやすくなります。

AI研修の費用・助成金活用の具体例については、AI研修・講習おすすめ8選|費用相場と助成金活用法も合わせてご確認ください。中小企業のAI導入全体の進め方については、中小企業のAI導入ガイド|費用・補助金・手順【2026年】が参考になります。

研修助成金でよくある失敗と注意点

助成金申請でよくある失敗パターンを3つ紹介します。いずれも事前に知っておくことで回避できるものです。

失敗①計画届の提出期限を過ぎてしまう

最も多い失敗が「計画届の提出が間に合わなかった」ケースです。研修の内容検討・外部業者との調整に時間がかかり、気づいたら研修開始まで1ヶ月を切っていた、という事例が後を絶ちません。計画届を提出できなかった研修は全額自己負担になります。研修の計画段階から「計画届の提出期限」をカレンダーに入れ、逆算してスケジュールを組むことが必須です。

失敗②対象外の研修を申請してしまう

2026年8月の改正を知らずに、汎用的なAI入門研修を申請してしまうケースが発生しています。「以前は通った」という情報が今でも通用するとは限りません。申請前に最新の対象要件を厚生労働省公式サイトで確認するとともに、ハローワークや社会保険労務士に相談することをおすすめします。

失敗③書類不備・労務管理の不整備

支給申請時に書類が揃っていないと差し戻しになり、2ヶ月の申請期限を過ぎてしまうリスクがあります。また、出勤簿・タイムカードなどの労務管理書類が整備されていない場合も受給できないことがあります。研修実施前から「どの書類が必要か」をリスト化し、チェックリストを使って漏れなく管理することが失敗回避のポイントです。

まとめ:研修助成金を活用して社員育成コストを抑えよう

本記事で解説した研修助成金のポイントを整理します。社員研修に活用できる主な助成金は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」(全国対応・最大75%助成)、東京都の「DXリスキリング助成金」(都内中小企業対象・75%助成)、「東京都事業内スキルアップ助成金」の3つです。

申請で最も重要なのは「計画届を研修開始の1ヶ月前までに提出すること」です。この期限を守らないと全額自己負担になります。また、2026年8月の改正により汎用的なプロンプト研修・DX概論は助成対象外になったため、業務課題と直結した実践型研修として設計することが求められます。

AI研修を検討している場合は、研修内容が助成対象かどうかを事前に確認しながら計画することで、コストを大幅に抑えた研修体制を構築できます。

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研修に使える助成金の種類と申請方法【2026年最新】

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この記事の監修者

株式会社BuzzConnection/株式会社KAGEMUSHA 代表取締役CEO

2021年に独立し、株式会社BuzzConnectionを設立。複数の事業を運営し、現在はAIを活用したWebアプリケーションの開発、運用や生成AIの普及を目的としたセミナー研修の開催など多角的に活躍している。
2023年4月に株式会社KAGEMUSHAを創業。AI事業に大きく事業を展開。
AIアバターやデジタルヒューマン、AIチャットボット、AI研修など幅広い視点からAIの業務効率化を支援。

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