業務自動化ツールとして注目を集めるn8nですが、導入を検討する際に多くの人がつまずくのが「料金体系の複雑さ」です。
「クラウド版とセルフホスト版、結局どちらが得なのか?」「自分の業務量だとどのプランが最適なのか?」といった疑問を持つ方は少なくありません。
n8nの料金モデルは、競合ツールとは異なる独自のカウント方式を採用しており、仕組みを理解せずに契約すると「想定よりもコストがかかった」「オーバースペックなプランを選んでしまった」という事態になりかねません。
この記事では、n8n料金の仕組みを基礎から解説し、あなたの利用状況に合わせた最適なプランの選び方を提示します。
さらに、損をしないための契約手順や、無料で使えるセルフホスト版の導入概要まで、導入決定に必要な情報を網羅しました。この記事を参考に、最もコストパフォーマンスの高い方法で自動化をスタートさせましょう。
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n8nの料金体系とは? 課金の仕組みと2つの提供形態
n8nを利用するには、大きく分けて「n8n社が管理するサーバーを利用する(クラウド版)」か「自前のサーバーにインストールする(セルフホスト版)」かの2つの選択肢があります。
まずはこの基本構造と、課金の基準となる独自のルールを理解しましょう。
「クラウド版」と「セルフホスト版」の決定的な違い
n8nの導入形態には、それぞれ明確なメリットとデメリットが存在します。料金だけでなく、運用コストも含めて判断する必要があります。
- クラウド版(n8n Cloud)
n8n公式がホスティングするSaaS型サービスです。サーバー構築やメンテナンスが不要で、登録後すぐに利用可能です。セキュリティ対策やアップデートも自動で行われますが、実行回数や機能にプランごとの上限があります。 - セルフホスト版(Self-hosted)
自身のサーバー(VPSやローカル環境)にn8nをインストールして利用する形態です。ソフトウェア利用料は無料(Community Editionの場合)ですが、サーバー代と保守管理の人的コストがかかります。データを自社内で完結でき、実行回数の制限もサーバーリソース依存となります。
サーバー管理の手間を省きたいならクラウド版、コストと自由度を優先するならセルフホスト版が適しています。
独自概念「ワークフロー実行回数」のカウント方法
n8nのクラウド版料金プランは、主に「ワークフロー実行回数(Workflow executions)」によって決まります。ここで重要なのが、競合ツール(Zapierなど)とのカウント方法の違いです。
- 1ワークフロー完了 = 1実行
n8nでは、1つのワークフローが最初から最後まで走って「1回」とカウントされます。 - ステップ数は無制限
ワークフローの中にいくつのノード(処理ステップ)が含まれていても、カウントは「1回」のままです。例えば、1回の起動で「データ取得→加工→Slack通知→スプレッドシート記録」という4つの処理を行っても、消費される実行回数は1回です。 - ループ処理も1回
ワークフロー内で100件のデータをループ処理しても、それが1つのワークフロー内であれば「1実行」として扱われます。これは大量データを処理する際に大きなコストメリットとなります。
実行回数だけじゃない? プランごとの機能制限(同時実行数ほか)
プラン選定時に見落としがちなのが「同時実行数(Concurrency)」などの機能制限です。実行回数が範囲内でも、使い方が合わないとエラーになる可能性があります。
- 同時実行数(Concurrency)
同時に処理できるワークフローの数です。下位プランではこの数が制限(例:5〜10程度)されており、短時間に大量のトリガーが発生する場合、処理待ちやエラーが発生することがあります。 - 管理者権限とチーム機能
Starterプランなどの下位プランでは、ユーザー管理機能や共有設定に制限がある場合があります。チームでワークフローを共同編集したい場合は、上位プランが必要になることがあります。
【ケース別】あなたに最適なプランの選び方とコスト試算
仕組みを理解したところで、具体的にどのプランを選ぶべきか、ケース別の推奨と試算方法を解説します。
Starter / Pro / Enterprise プランの比較と推奨ユーザー
クラウド版の主なプラン構成は以下の通りです(※最新価格は公式サイトを確認してください)。
- Starter プラン
手頃な月額料金で始められるエントリープランです。個人開発者や小規模な自動化を試したいフリーランス、PoC(概念実証)段階のプロジェクトに向いています。 - Pro プラン
実行回数が大幅に増え、APIアクセスやチーム機能が強化されたプランです。複数の業務フローを自動化したい中小企業や、頻繁にデータを同期する運用担当者に推奨されます。 - Enterprise プラン
セキュリティ、監査ログ、専任サポートが付帯する大規模向けプランです。全社的に自動化を導入する大企業や、厳格なセキュリティ要件がある組織に適しています。
失敗しない「実行回数シミュレーション」のやり方
契約前に、自分の業務でどれくらいの実行回数が必要か試算しましょう。以下の手順で計算します。
- 自動化したいタスクをリストアップする
例:問い合わせフォームからの通知、毎日の売上集計、SNS投稿など。 - 各タスクの実行頻度を確認する
例:フォーム通知(1日5件×30日=150回)、売上集計(1日1回×30日=30回)、SNS投稿(1日3回×30日=90回)。 - 合計回数を算出する
上記の場合、合計270回/月となります。 - バッファを持たせる
テスト実行やエラー時の再実行を考慮し、算出した回数の1.2〜1.5倍程度を見積もっておくと安心です。
計算結果がプランの上限に収まるか確認し、余裕を持ったプランを選びましょう。
コスト重視なら「Community Edition」か「Starter」か
「できるだけ安く済ませたい」という場合、無料のCommunity Edition(セルフホスト)か、最安のStarterプラン(クラウド)かで迷うことになります。判断基準は以下の通りです。
- Starterプランを選ぶべき人
サーバー管理の知識がない、または管理に時間を割きたくない人。月額数千円のコストよりも、安定稼働と手軽さを優先したい場合に適しています。 - Community Editionを選ぶべき人
LinuxやDockerの知識があり、トラブル対応も自分でできる人。すでにVPSなどを契約しており、追加コストなしで導入できる場合に最適です。
損をしない契約手順:無料トライアルから利用開始まで(クラウド版)
クラウド版を利用する場合の、具体的な契約手順と注意点を解説します。まずは無料トライアルから始めるのが鉄則です。
14日間無料トライアルの始め方(クレカ不要)
n8nのクラウド版には、クレジットカード登録なしで試せる無料トライアル期間が用意されていることが一般的です。
- 公式サイトへアクセス
n8n公式サイトの「Start free trial」や「Get started」ボタンをクリックします。 - アカウント作成
メールアドレスとパスワードを入力するか、Googleアカウントなどでサインアップします。 - メール認証
登録アドレスに届く認証メールを確認し、リンクをクリックしてアカウントを有効化します。 - ダッシュボードへログイン
ログインすると専用のワークスペースが作成され、すぐにワークフロー作成画面(Canvas)を利用できます。
有料プランへのアップグレードと支払い設定
トライアル期間終了後、または制限以上の機能を使いたい場合は有料プランへ移行します。
- 管理画面へアクセス
n8nダッシュボードの「Settings」または「Plan & Billing」メニューを開きます。 - プラン選択
StarterまたはProプランを選択し、「Upgrade」ボタンを押します。 - 支払い情報入力
クレジットカード情報を入力し、請求先住所などを設定します。 - 契約確定
内容を確認して確定すると、即座に有料プランの機能が適用されます。
【節約テクニック】月額契約で試してから年間契約へ切り替える方法
n8nの料金は、年間契約(Annual billing)にすると月額換算で割引が適用されるケースが多いです。しかし、いきなり年間契約するのはリスクがあります。
推奨する手順は以下の通りです。
- 最初は「月額払い(Monthly billing)」で契約する。
- 2〜3ヶ月運用し、実行回数がプラン内に収まるか、機能に不足がないかを確認する。
- 運用が安定し、長期利用が確定したタイミングで「年額払い」へプラン変更する。
この手順を踏むことで、「契約したけど使いこなせなかった」という場合の損失を最小限に抑えることができます。
コスト0円で使う「Community Edition」の導入概要(セルフホスト版)
技術的なスキルがある場合、ソフトウェア利用料無料のCommunity Editionを利用することでコストを最適化できます。ここでは導入の全体像を解説します。
導入に必要な環境とスキルの目安(Docker/VPS)
セルフホスト版を運用するには、以下の環境とスキルが必要です。
- 必要な環境
常時稼働するサーバー(VPS、クラウドインスタンス、または常時起動のローカルPC)。推奨スペックはメモリ2GB以上、CPU 1コア以上です。 - 必要なスキル
Linuxの基本的なコマンド操作(SSH接続、ファイル操作)、DockerおよびDocker Composeの基礎知識、ドメイン設定やSSL証明書(HTTPS化)の知識が求められます。
Docker Composeを使ったインストール手順の全体像
最も一般的で管理しやすいDocker Composeを用いた導入の流れは以下の通りです。
- サーバーの準備
VPSなどを契約し、DockerとDocker Composeをインストールします。 - ディレクトリ作成
n8n用のフォルダを作成し、そこに移動します。 - docker-compose.ymlの作成
公式ドキュメントにある設定例を参考に、docker-compose.ymlファイルを作成します。ポート設定やボリューム(データ保存場所)の定義を行います。 - 環境変数の設定
必要に応じて.envファイルを作成し、タイムゾーンやセキュリティ設定、Webhook用のURLなどを記述します。 - コンテナの起動
docker-compose up -dコマンドを実行し、n8nをバックグラウンドで起動します。 - ブラウザからアクセス
http://サーバーIP:5678などにアクセスし、初期アカウント設定を行います。
セルフホスト版を利用する際のセキュリティと運用責任
セルフホスト版は自由度が高い反面、セキュリティは自己責任となります。特に以下の点に注意して運用してください。
- 外部公開のリスク
Webhookを利用するためにインターネット公開する場合、Basic認証の設定やリバースプロキシ(Nginxなど)によるSSL化が必須です。 - バックアップ
ワークフローのデータや実行ログはサーバー内に保存されます。定期的なバックアップ体制を自分で構築する必要があります。 - アップデート
n8nは頻繁にアップデートされます。定期的にDockerイメージをプルし、コンテナを再起動して最新版を適用する運用が必要です。
セキュリティ対策を怠ると情報漏洩のリスクがあるため、慎重な設定が必要です。
契約前に知っておくべき注意点とよくある失敗パターン
最後に、契約や運用で後悔しないために知っておくべき重要な注意点をまとめます。
年間契約の「途中解約・返金不可」ルールに注意
多くのSaaSと同様、n8nの年間契約も原則として途中解約による返金は行われません。
「やっぱり使わなくなったから残りの月分を返してほしい」という要望は通らないため、前述した通り、まずは月額プランで確信を得てから年間契約に切り替えることを強く推奨します。
プラン変更(アップグレード/ダウングレード)時のデータ影響
プランを変更する際、データの扱いに注意が必要です。
- アップグレード時
通常、即座に新しい上限が適用されます。差額の請求が発生します。 - ダウングレード時
次回の更新日から適用されるのが一般的です。ただし、ダウングレードによって実行回数上限が下がると、月末にワークフローが停止するリスクが高まります。また、上位プラン専用の機能を使っていたワークフローは動作しなくなる可能性があります。
競合ツール(Zapier・Make)と比較したコストメリット
他社ツールと比較する際、n8nがコスト的に有利になるのは「ステップ数が多い複雑な処理」を行う場合です。
- Zapier/Make
1アクション(ステップ)ごとに課金されるため、処理が長くなるとコストが跳ね上がります。 - n8n
1ワークフロー完了で1カウントのため、内部で100ステップ処理してもコストは変わりません。
「データを取得して、加工して、条件分岐して、複数の場所に保存する」といった複雑なフローを組む場合、n8nの料金体系は圧倒的にコストパフォーマンスが高くなります。
まとめ
n8nの料金プランを選ぶ際は、単なる月額料金の比較だけでなく、「実行回数の定義」と「運用体制」を考慮することが重要です。
- 料金の仕組み
「1ワークフロー=1実行」のカウント方式により、複雑な処理ほどお得になります。 - プラン選定
まずは業務フローを洗い出し、月間の実行回数をシミュレーションしてください。 - 導入ステップ
クラウド版の無料トライアルから始め、月額契約で様子を見てから年間契約へ移行するのが最もリスクの低い方法です。 - セルフホスト
技術力があり、サーバー管理コストを許容できる場合は、Community Editionでランニングコストを抑えることも可能です。
まずは無料トライアルやCommunity Editionを利用して、実際の操作感と処理能力を確認することから始めてみましょう。自身の業務にフィットするプランが見つかれば、n8nは強力な自動化パートナーとなるはずです。
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