はじめに
生成AIイラストは、AIがテキストなどの指示をもとにイラストを自動生成する技術です。この技術は、AIが大量の画像データを学習し、そこからパターンや特徴を理解してイラストを描き出すという仕組みで動いています。これにより、イラストを描くスキルがない人でも簡単にオリジナルアート作品を作ることが可能です。
この記事では、無料で利用できるおすすめの生成AIイラストアプリを紹介し、初心者でも手軽に利用できる方法を解説します。また、生成AIを利用する際の著作権やプライバシーに関する注意点についても触れているので、安心して活用できるようにぜひこの記事を読んで理解を深めてくださいね。
生成AIイラストとは
前述したとおり、生成AIイラストとは、AIが指示に基づいて自動的にイラストを描き出す技術のことです。具体的には、AIは膨大な数の既存の画像データや絵画作品を学習し、そこから色彩や構図、形状のパターンを理解します。その後、テキストでの指示（プロンプト）をもとに、新しいイラストを生成します。
ここでは、生成AIイラストの仕組みや画像生成に用いられる手法について解説します。
生成AIイラストの仕組み
生成AIイラストの仕組みを、大きく3つのステップに沿って解説します。
Step1:テキストの理解
生成AIは、まずユーザーが入力したテキストを理解するところから始まります。これは、自然言語処理（NLP）という技術を用いて、テキストから重要なキーワードや概念を抽出し、画像を生成するためのヒントを得ます。
たとえば、「青空の下で遊ぶ猫」というプロンプトからは、「青空」「猫」「遊ぶ」といった要素をAIが理解し、これをもとにイラストの特徴を抽出します。
Step2：画像生成
次に、AIは深層学習（ディープラーニング）技術を活用して、膨大な画像データを学習したニューラルネットワークを使い、抽出されたキーワードや概念をもとに新しい画像を生成します。
ここでは、学習したパターンや色、形状などを組み合わせて、プロンプトに沿った画像が生み出されます。これにより、AIはまったく新しいイラストを作成することが可能です。
Step3：画像出力
最後に、生成されたデータは、潜在空間でのベクトルに変換され、それを基に画像として出力されます。潜在空間でのベクトルは、イラストの色や形、質感といった要素を数値で表現しており、それを視覚的な画像に変換するモデルによって、最終的なイラストが完成します。
画像生成に用いられる手法
画像生成に用いられる4つの手法について紹介します。
VAE（Variational Auto Encoder、変分オートエンコーダ）
VAEは、入力画像を圧縮して潜在変数に変換し、それをもとに新しい画像を生成する手法です。データの潜在空間を利用するため、リアルで多様な画像生成が得意です。
GAN（Generative Adversarial Networks）
GANは「敵対的生成ネットワーク」とも呼ばれ、生成モデル（Generator）と識別モデル（Discriminator）が競い合うことでリアルな画像を生成する手法です。生成モデルは本物に近い画像を作り、識別モデルはその真偽を判定することで双方が成長します。
Pix2Pix
Pix2Pixは、特定の画像を別の形式に変換するためのGANのバリエーションです。例えば、スケッチをカラー画像に変換するなど、ペアデータを用いた画像変換に優れた手法です。
TransGAN
TransGANは、従来のCNN（畳み込みニューラルネットワーク）を使用せず、TransformerモデルをベースにしたGANです。従来のGANに比べ、画像生成の柔軟性が向上しています。
生成AIイラストのメリット
生成AIイラストを活用するメリットについて、いくつか解説します。
手書きに比べて均一したクオリティが担保される
生成AIを用いたイラストは、画像処理技術や深層学習を駆使して作成されるため、手書きでは難しい均一したクオリティを保つことができます。特に細部の処理や色合い、構図などが安定して再現され、見栄えの良いイラストを一貫して提供できます。
作業のスピード化や効率化
生成AIは非常にスピーディーなアウトプットが可能であり、作成したイラストの調整や修正も瞬時に対応できます。これにより、従来の手作業では時間がかかっていた工程を大幅に短縮でき、効率的に作品を量産できるメリットがあります。
イラストのバリエーションが増える
AIは多様なスタイルやアート表現を容易に生成できるため、イラストのバリエーションが無限に広がります。ユーザーが指定するプロンプトに応じて、様々なテイストやテーマに合わせた作品を短時間で作成することができ、独自性のあるアートを手軽に提供できます。
幅広いジャンルや需要に答える事ができる
生成AIは、リアルな風景や抽象的なデザイン、キャラクターデザインやファンタジーアートなど、幅広いジャンルのイラストを作成できます。これにより、様々なニーズに対応できるため、広告やゲーム、アニメ、Webデザインなど、多様な分野で活用可能です。
生成AIイラストのデメリット・注意点
生成AIイラストは、著作権や倫理的な問題、オリジナリティに欠けるなど、様々な課題も存在します。ここでは、生成AIイラストのデメリットや注意点について解説します。
シリーズものなどの制作は難易度が高い
生成AIは単体のイラストを生成するのに優れていますが、シリーズものや連続性を持たせた作品を作る場合、再現性が課題となります。プロンプトの内容や設定を一貫させる必要があり、特に高度な知識がないと同じスタイルやキャラクターを継続的に描き続けることが難しいため、難易度が高くなります。
著作権や商標権を侵害するリスクがある
生成AIで作成されたイラストの著作権や使用権は、サービスによって異なるため、利用規約をしっかり確認する必要があります。また、AIは既存のデータをもとに学習しているため、商用利用をする際は、使用しているデータに含まれる商標や著作物に対する法的なリスクを十分に理解し、注意することが求められます。
倫理的な問題
生成AIが学習するデータによっては、差別的な表現や偏見を含む場合があります。AIがこれらを無意識に取り入れ、結果的に差別や不適切な内容を助長するようなイラストを生成してしまう可能性も指摘されています。AIの生成結果に対して倫理的な視点を持ち、慎重に利用することが大切です。
オリジナリティに欠ける
生成AIは既存のデータを基に新しい画像を生成するため、完全にオリジナルと言い切れない場合があります。特に、AIが過去のデータを参考にしている以上、他の作品やデザインと類似してしまうリスクもあります。独自性を追求したいクリエイティブな作品には不向きな面があるかもしれません。
生成AIイラスト作成おすすめのサービス
AIによりイラスト生成してくれるオンラインサイトやアプリは複数存在します。サービスによっては商用利用が不可となっていたり、著作権についても細かく条件が定められています。ここではおすすめのサービスをいくつか紹介します。
Chat GPT
ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の生成AIで、文章の生成や編集、質問への回答、アイデアの提案など、幅広いテキストベースのタスクに対応します。また、最新の機能では画像生成も可能となり、テキストから簡単に視覚的なコンテンツを作成できる点が特徴です。特に、はじめてAIを活用する人やクリエイティブなプロジェクトに参加するユーザーにとって便利なツールです。
※サービスへのアクセスはこちら
Google Gemini
Google Geminiは、Googleが開発した高度な生成AIで、テキストや画像、音声の生成・編集に対応しています。特にマルチモーダル機能を持ち、異なるデータ形式を組み合わせて理解・生成できる点が特徴です。大量のデータから学習しており、コンテキストに沿った高精度な回答を提供するため、クリエイティブなコンテンツ作成や業務の自動化に幅広く活用されています。Googleのエコシステムとの統合も強みです。
※サービスへのアクセスはこちら
Adobe Firefly
Adobe Fireflyは、Adobeが提供する生成AIツールで、クリエイティブプロセスをサポートするために設計されています。テキストから画像やエフェクトを生成でき、簡単に高度なデザインを作成できる点が特徴です。また、PhotoshopやIllustratorなどのAdobe製品とシームレスに統合されており、クリエイターがより効率的に作品を制作できる環境を実現します。直感的な操作で初心者からプロまで幅広い層の利用が可能です。
※サービスへのアクセスはこちら
Canva
Canvaは、誰でも簡単にデザインを作成できるオンラインデザインツールです。豊富なテンプレートや画像素材が用意されており、ドラッグ＆ドロップ操作で、初心者でもプロフェッショナルなデザインを手軽に作成可能です。SNS用の投稿、プレゼン資料、名刺など多様な用途に対応しており、無料プランでも多くの機能を利用できます。また、チームでの共同作業機能も備えており、ビジネスや教育の現場でも活用されています。
※サービスへのアクセスはこちら
Stable Diffusion
Stable Diffusionは、テキストから高品質な画像を生成できるAIモデルです。オープンソースとして公開されており、カスタマイズや自由な利用が可能な点が大きな特徴です。ユーザーは、任意のプロンプトを入力することで、多様なスタイルやジャンルの画像を生成できます。また、生成プロセスを制御できるため、より細かい調整やユニークなアート作品の作成に向いています。特にクリエイターやデザイナーに人気のあるツールです。
※サービスへのアクセスはこちら
Midjourney
Midjourneyは、テキストから美麗なアート作品を生成するAIプラットフォームです。特に芸術的で独創的なビジュアルを得意とし、ユーザーは簡単なプロンプト入力だけで、幻想的な風景や抽象的なデザインを生み出すことができます。AIの直感的な操作性と高品質な出力が特徴で、ビジュアルコンテンツを作成したいクリエイターやデザイナーに人気があります。また、コミュニティ内でのコラボレーションも活発に行われています。
※サービスへのアクセスはこちら
まとめ
この記事では生成AIイラストの仕組みやメリット・デメリット等について解説しました。本記事のまとめは以下の通りです。
・生成AIイラストとは、AIが指示に基づいて自動的にイラストを描き出す技術を指す。
・生成AIイラストのメリットとして、均一したクオリティの担保、作業の時間短縮や効率化、イラストバリエーションの増加などが挙げられる。
・生成AIイラストのデメリットや課題として、シリーズものや連続性をもったものの再現度、著作権や商標権を侵害するリスク、倫理的な問題などが挙げられる。
その他のAIツールについても、こちらから解説しています。ぜひお役立てくださいね。
加速度的に革新が起こるAI業界についていくためには、常にアンテナを張って情報をキャッチし続ける必要があります。ですが、普段お仕事で忙しい毎日を過ごしている皆様にとって、それは簡単なことではないでしょう。
そこで、我々BuzzConnectionが皆様の生成AI活用についてのお手伝いを致します。業務フローへのAI導入に関わるコンサルティングや研修セミナーの実施から、自社での生成AIと連携したアプリケーションサービスの提供まで包括的なサポートを行っております。
コメント