n8n(エヌエイトエヌ)に興味はあるものの、「環境構築が難しそう」「具体的な操作手順がわからない」と導入を躊躇していませんか?
n8nは、ノードと呼ばれるアイコンを線でつなぐだけで、複雑な業務フローを自動化できる強力なツールです。
しかし、特にローカル環境(Docker)での構築や、最初の一歩となるWebhookの設定には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
本記事では、n8nの環境構築から、実際にブラウザに応答を返す自動化ワークフローを作成するまでの手順を、ステップバイステップで解説します。
WindowsでのDocker設定や、初心者がつまづきやすい「Respond設定」についても詳しく触れていますので、記事を見ながら操作を進めてみてください。
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n8nの利用開始手順:クラウド版とローカル版の環境準備
このセクションでは、n8nを使い始めるための環境構築手順を解説します。
手軽なクラウド版と、無料で使えるローカル版(Docker)の2通りを紹介します。
最も手軽な「n8n cloud」のアカウント作成手順
まずは、サーバー構築不要ですぐに利用できる公式のクラウド版(n8n cloud)の手順です。
- 公式サイトへアクセス
n8nの公式サイトにアクセスし、トップページの「Start free trial」または「Sign up」ボタンをクリックします。 - アカウント情報の入力
メールアドレスとパスワードを入力するか、Googleアカウント連携を選択して登録を進めます。 - メール認証とログイン
登録したメールアドレスに確認メールが届くので、リンクをクリックして認証を完了させます。その後、ログインするとすぐにワークフローのエディター画面が表示されます。
クラウド版は環境構築の手間がなく、すぐに自動化を試せるのが最大のメリットです。
Windowsローカル版:Docker Desktopの導入とWSL2設定
Windowsのローカル環境で無料で利用する場合、Dockerを使用するのが一般的です。
ここではDocker Desktopの導入と、動作に必要なWSL2の設定を行います。
- Docker Desktopのインストール
Docker公式サイトから「Docker Desktop for Windows」をダウンロードし、インストーラーを起動します。 - WSL 2 backendの選択
インストール中の設定画面(Configuration)で、「Use WSL 2 based engine」にチェックが入っていることを必ず確認してください。これがn8nを安定動作させるための推奨設定です。 - WSL2の有効化(必要な場合)
Docker起動時にWSL2関連のエラーが出る場合は、WindowsのPowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行してWSLをアップデートしてください。wsl --update
その後、PCを再起動します。
n8nを安定動作させるため、Docker設定で「Use WSL 2 based engine」が有効になっているか必ず確認しましょう。
ローカル版の起動コマンドとポート番号(5678)の確認
Docker環境が整ったら、n8nを起動します。
- 起動コマンドの実行
コマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。これにより、n8nの最新イメージがダウンロードされ、コンテナが起動します。
docker run -it --rm --name n8n -p 5678:5678 -v n8n_data:/home/node/.n8n docker.n8n.io/n8nio/n8n
- ブラウザでアクセス
起動ログが表示され、動きが落ち着いたら、Webブラウザのアドレスバーに以下を入力してアクセスします。http://localhost:5678 - 初期設定
初回アクセス時は、ローカル用のアカウント作成画面(Owner account setup)が表示されます。メールアドレスなどを入力してセットアップを完了してください。
最初に知っておくべきn8nの基本画面と用語
このセクションでは、操作の前提となる画面の見方と、n8n特有の用語を直感的に理解できるよう解説します。
ワークフロー・ノード・コネクションの役割
n8nでの自動化は、以下の3つの要素で構成されます。
- ワークフロー(Workflow)
自動化処理全体の設計図です。キャンバス全体を指します。 - ノード(Node)
「Webhookを受信する」「データを加工する」「Slackに通知する」といった、個々の処理を行うアイコンです。 - コネクション(Connection)
ノードとノードをつなぐ線です。左から右へとデータが流れる経路を表します。
エディター画面の基本操作とメニュー配置
画面の主要な操作エリアを確認します。
- キャンバス(中央)
ここにノードを配置します。マウスのホイールで拡大縮小、ドラッグで移動が可能です。 - ノード追加メニュー
画面上の「+」ボタン、またはキャンバス上の「Add first step」をクリックすると、ノードの検索・追加メニューが開きます。 - 実行・保存ボタン(右上)
Execute Workflow: 現在のワークフローをテスト実行します。
Save: ワークフローを保存します。
Activeスイッチ: ワークフローを本番稼働させるためのスイッチです。
右上の「Execute Workflow」でテスト実行、「Save」で保存、「Active」で本番稼働と覚えておきましょう。
実践手順1:Webhookトリガーの設置と受信テスト
このセクションから、実際に「ブラウザからアクセスするとメッセージを返す」ワークフローを作成します。
まずは入り口となるトリガーを設定します。
新規ワークフロー作成とWebhookノードの追加
- 新規作成
ダッシュボード右上の「Add workflow」をクリックし、新しいキャンバスを開きます。 - Webhookノードの検索
キャンバス中央の「Add first step」をクリックし、検索窓に「Webhook」と入力します。 - ノードの配置
検索結果に表示される「Webhook」を選択します。これでキャンバスにトリガーとなるノードが配置されました。
テスト用URLの確認とブラウザからのアクセス実行
Webhookノードの設定パネルが開いている状態で、以下の操作を行います。
- Test URLの確認
設定パネル内の「Webhook URLs」セクションを見ます。「Test URL」タブが選択されていることを確認し、表示されているURL(例:http://localhost:5678/webhook-test/...)をクリックしてコピーします。 - 待機状態にする
設定パネル下部、または画面右下の「Listen for Test Event」をクリックします。これでn8nがデータ受信待ちの状態になります。 - ブラウザでアクセス
新しいブラウザタブを開き、コピーしたURLを貼り付けてアクセス(Enter)します。
※この時点では画面に「Workflow got started」と表示されます。
テスト時は必ず「Listen for Test Event」をクリックして、n8nを受信待機状態にしてからURLにアクセスしてください。
実行データの確認方法とJSONの見方
n8nの画面に戻ると、「Workflow executed successfully」と表示され、受信データが確認できます。
- OUTPUTデータの確認
ノードの右側に表示されるデータパネル(OUTPUT)を確認します。 - JSON形式
ブラウザからのリクエスト情報(HeadersやQueryなど)がJSON形式で表示されていれば、受信テストは成功です。
実践手順2:レスポンス設定とロジックの構築
このセクションでは、受信したリクエストに対して「Hello from n8n!」という返事を返す設定を行います。
ここがn8n初心者にとって最大のつまづきポイントですので、慎重に進めてください。
Edit Fields (Set) ノードで返却メッセージを定義する
受信したデータに対して、返却したいメッセージを作成します。
- ノードの追加
Webhookノードの右側にある「+」ボタンをクリックし、「Edit Fields (Set)」を検索して追加します。 - 値の設定
設定パネルで「Add Value」→「String」を選択します。
Name:message
Value:Hello from n8n!
と入力します。これで、「message」という項目に挨拶文が格納されたデータが作られます。
Respond to Webhookノードの追加と接続
ブラウザにデータを送り返すための専用ノードを追加します。
- ノードの接続
Edit Fields (Set)ノードの右側の「+」をクリックし、「Respond to Webhook」を検索して追加します。 - レスポンス設定
設定パネルの「Respond With」が「JSON」、「Response Body」が「Input Data (Last Node)」になっていることを確認します。
これにより、直前のSetノードで作った「Hello from n8n!」が返却対象となります。
【重要】WebhookノードのRespond設定を変更する
ここが最も重要です。デフォルト設定のままでは、せっかく追加したRespondノードが機能しません。
- Webhookノードを再編集
最初の「Webhook」ノードをダブルクリックして設定パネルを開きます。 - Respond設定の変更
「Respond」という項目を探します。デフォルトでは「Immediately」になっています。
これを 「Using ‘Respond to Webhook’ Node」 に変更してください。 - 設定の意味
これにより、「受信したら即座に定型文を返す」のではなく、「ワークフローの処理が終わってから、Respondノードの内容を返す」という挙動に変わります。
WebhookノードのRespond設定を「Using ‘Respond to Webhook’ Node」に変更しないと、作成したメッセージが返却されません。
ワークフローの保存・有効化と動作確認
このセクションでは、テスト環境から本番環境へ切り替え、作成したワークフローを常時稼働させる手順を解説します。
ワークフローの保存(Save)とアクティブ化
- 保存
画面右上の「Save」ボタンをクリックしてワークフローを保存します。 - アクティブ化
「Save」ボタンの隣にある「Active」スイッチをオン(緑色)にします。これで、テストモード(Listen for Test Event)を使わなくても、常時リクエストを受け付ける状態になりました。
Production URLを使った最終動作確認
本番運用では「Test URL」ではなく「Production URL」を使用します。
- Production URLの取得
Webhookノードの設定パネルを開き、「Webhook URLs」セクションで 「Production URL」 タブをクリックします。表示されたURLをコピーしてください。
(URLの中にwebhook-testではなくwebhookが含まれているのが特徴です) - 最終確認
ブラウザでコピーしたProduction URLにアクセスします。
画面に{"message": "Hello from n8n!"}と表示されれば、自動応答ワークフローの完成です。
本番運用時は必ず「Production URL」を使用してください。「Test URL」はテストモード中しか動作しません。
n8n利用時の注意点とライセンス制限
このセクションでは、運用にあたって知っておくべき制限事項やルールを補足します。
ローカル環境利用時のインターネット接続要件
ローカル版(Docker)であっても、多くの機能はインターネット接続を前提としています。
- 外部API連携
SlackやGoogle Sheetsなどの外部サービスと連携するノードを使用する場合、n8nがインターネットに接続できる環境である必要があります。 - 完全オフライン
完全なオフライン環境では、ノードの認証設定(Credentials)やテンプレートの読み込みが正常に動作しない場合があります。
無料利用の範囲と商用ライセンス(Sustainable Use License)
n8nはオープンソースに近い形態ですが、ライセンスは「Sustainable Use License」を採用しています。
- 無料利用の範囲
個人利用、社内業務の自動化、非商用プロジェクトなどでは無料で使用できます。 - 制限事項(Fair-code)
n8n自体を商用SaaSとして第三者に提供すること(例:n8nのホスティングサービスを有料で立ち上げるなど)は制限されています。通常の業務利用であれば問題ありませんが、商用サービスに組み込む場合はライセンス条項を確認してください。
まとめ
n8nの使い方について、環境構築からWebhookによる自動応答ワークフローの作成までを解説しました。
- 環境構築: クラウド版は登録のみ、ローカル版はDockerコマンドでポート5678を指定して起動。
- 基本操作: ノードをつなぎ、左から右へデータを流すのが基本。
- 重要設定: Webhook応答を作る際は、WebhookノードのRespond設定を「Using ‘Respond to Webhook’ Node」に変更する。
- 本番化: Activeスイッチをオンにし、Production URLを使用する。
まずは今回作成したフローをベースに、「Slackに通知を送る」「スプレッドシートに行を追加する」といったノードを追加し、ご自身の業務に合わせた自動化へ発展させてみてください。
【法人向け】現場で使える実践型AI研修!
株式会社KAGEMUSHAのAI研修は、現場業務に直結する実践型カリキュラムで、AI活用を「知識」で終わらせず「使えるスキル」として定着させます。
DX担当者・現場メンバーそれぞれのレベルに合わせ、生成AI・業務自動化・AIエージェント活用まで幅広く対応。
対面からオンライン・eラーニングと幅広い研修形式に対応しており、内製化や業務改善につながる設計が強みです。
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