生成AIの業務利用が急速に進む中、多くの企業が直面しているのが「ChatGPTを安全に導入するための契約形態」に関する課題です。
個人向けの「Plus」プランでは、入力データがAIの学習に利用されるリスクや、アカウント管理の不透明さが残るため、企業としてのガバナンスを効かせることが困難です。
本記事では、企業のDX推進担当者や情報システム部門、管理部門の責任者に向けて、ChatGPTの法人契約(TeamプランおよびEnterpriseプラン)について解説します。
セキュリティ要件、管理機能、コストの違いを整理し、自社がどのプランを選択すべきか、あるいは導入を見送るべきかの判断材料を提供します。
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ChatGPT法人契約の全体像:TeamとEnterpriseの判断基準

企業がChatGPTを導入する際、最も重要なのは「セキュリティ」と「管理統制」です。
個人利用とは異なり、組織としてデータを守り、利用状況を把握できる環境が必須となります。ここでは、法人契約の基本構造とプラン選定の基準を解説します。
法人プラン(Team/Enterprise)と個人版(Plus)の決定的な違い
個人向けの「ChatGPT Plus」と、法人向けの「Team」「Enterprise」プランの決定的な違いは、データ所有権と管理機能にあります。
個人版では、ユーザー個人の判断で利用が行われるため、会社としてのアカウント管理やデータ保護の強制力が働きません。
一方、法人プランでは「ワークスペース」という概念が導入され、管理者がメンバーの招待や削除、権限管理を行うことが可能です。
また、業務利用において最大の懸念点となる「入力データの学習利用」に関しても、法人プランでは明確な線引きがなされています。
企業がChatGPTを公式ツールとして認める場合、情報漏洩リスクを制御できる法人契約への移行は避けて通れない選択肢といえます。
「Team」と「Enterprise」の分岐点となる3つの要件
「Team」プランと「Enterprise」プランのどちらを選ぶべきかは、主に以下の3つの要件によって判断が分かれます。
- 数名から100名程度の規模であれば「Team」プランで対応可能ですが、数百名から数千名規模の全社導入となると、ユーザー管理の工数観点から「Enterprise」が視野に入ります。
- SSO(シングルサインオン)とドメイン認証
社内のセキュリティポリシーで、IdP(OktaやAzure ADなど)連携によるログイン制御が必須の場合、「Enterprise」一択となります。「Team」にはSSO機能が含まれていません。 - 監査ログと詳細な統制
「誰がいつ何をしたか」という監査ログの取得や、より詳細な利用分析が必要な場合も「Enterprise」が求められます。
現在提供されているプラン名称と位置づけの整理
現在、OpenAIが提供する法人向けプランは主に以下の2つです。
- ChatGPT Team
中小企業や特定の部署・プロジェクトチーム向け。セルフサーブ型(Webから即契約可能)で、スモールスタートに適しています。一部資料では「ChatGPT Business」と表記されることもありますが、実質的な位置づけは同等です。 - ChatGPT Enterprise
大企業向け。高度なセキュリティ、無制限の高速アクセス、専任サポートなどが付帯します。契約には営業担当との交渉が必要です。
かつて存在した「Business」プラン等の古い情報と混同せず、現在は「Team」か「Enterprise」の二択で検討を進めましょう。
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【最重要】セキュリティとデータ学習利用に関する安全性評価
法人契約を検討する最大の動機はセキュリティです。ここでは、入力データの扱いやコンプライアンス対応について、導入判断に必要な情報を整理します。
「入力データは学習されない」仕様の適用範囲
企業が最も懸念する「機密情報がAIの学習に使われ、他社への回答として流出するリスク」について、法人プランでは対策が講じられています。
TeamおよびEnterpriseプランでは、ビジネスデータ(プロンプトやアップロードしたファイルなど)は、OpenAIのモデル学習には利用されない仕様が標準となっています。
これにより、社内会議の議事録や開発コードなどを入力しても、それが将来のモデルの知識として蓄積されることはありません。API利用時と同様に、データプライバシーが確保された状態で利用可能です。
コンプライアンス・準拠規格(SOC2等)の対応状況
特にEnterpriseプランでは、企業のコンプライアンス要件を満たすための高度なセキュリティ基準が適用されています。
- SOC 2 Type 2 準拠
第三者機関によるセキュリティ監査をクリアしており、信頼性が担保されています。 - データ暗号化
データは転送時(TLS 1.2+)および保存時(AES-256)に暗号化され、厳重に保護されます。
これらの仕様は、金融機関や大手製造業など、厳格なセキュリティ規定を持つ企業が導入を承認するための重要な判断材料となります。
情報漏洩・ハルシネーションリスクへの対応策
システム的な保護に加え、運用面でのリスク対策も不可欠です。
- ハルシネーション(誤情報の生成)
AIはもっともらしい嘘をつく可能性があります。業務利用においては「生成物の事実確認(ファクトチェック)」を人間の責任で行うルールが必要です。 - 著作権・機密情報の扱い
システム側で学習利用をオフにしていても、生成されたコンテンツが既存の著作権を侵害していないか、あるいは入力データ自体に顧客の個人情報が含まれていないかなど、利用者のリテラシーに依存する部分があります。
法人契約で全リスクがゼロになるわけではないため、社内ガイドラインの策定とセットで導入を進めましょう。
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料金プランとコストシミュレーション
予算確保のために必要な、各プランの料金体系と契約条件について解説します。
Teamプランの料金体系と最低契約条件
ChatGPT Teamプランの料金は明確に設定されています。
- 年払い:1ユーザーあたり月額 $25(一括払い)
- 月払い:1ユーザーあたり月額 $30
最低契約条件として「2ユーザー以上」が必要です。1名のみでの利用はできません。
課金はワークスペース内の「シート数(座席数)」に基づいて行われ、請求期間の途中でユーザーを追加した場合は、日割り計算で即時請求が発生する仕組みが一般的です。
Enterpriseプランの費用構造と契約ハードル
ChatGPT Enterpriseプランは、公開された定価が存在しない「カスタム価格」となります。
- 価格目安
調査データによると、1ユーザーあたり月額 $60程度からと推定されますが、契約規模や交渉内容によって変動します。 - 契約条件
一般的に、最低利用人数(シート数)の下限が高めに設定されており(例:150名以上など、時期により変動あり)、年間契約が基本となります。
導入にはOpenAIのセールスチームとの見積もり・交渉プロセスが必要であり、TeamプランのようにWeb上だけで完結しない点に注意が必要です。
日本企業が注意すべき支払い方法(請求書払いの可否)
経理処理上のハードルとなるのが支払い方法です。
- Teamプラン
原則としてクレジットカード払いとなります。請求書払いや銀行振込には対応していないケースが大半であるため、法人カードの用意や立替精算のフロー確認が必要です。 - Enterpriseプラン
企業間取引となるため、請求書払いに対応可能です。
「クレジットカード決済が社内規定で難しい」という企業の場合、Teamプランの導入障壁となることがあります。
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管理機能・権限設定と内部統制(ガバナンス)
情シス部門が運用管理を行う上で重要となる機能差について解説します。
ワークスペース管理とメンバー招待・削除の運用
Teamプラン以上では、管理者(Admin)が専用の管理コンソールを利用できます。
- メンバー管理
メールアドレスによる招待、一括管理が可能です。 - アクセス権限
退職者が出た場合、管理画面からアカウントを削除または無効化することで、組織のデータへのアクセスを即座に遮断できます。
個人版(Plus)では退職後のアカウント追跡が不可能であるため、この管理機能は法人利用における必須要件といえます。
【Enterprise限定】SSO(シングルサインオン)とドメイン認証
全社導入時のID管理負荷を軽減し、セキュリティを強化するSSO(シングルサインオン)機能は、Enterpriseプラン限定です。
- IdP連携
Okta、Azure Active Directory (Microsoft Entra ID) などのIDプロバイダと連携し、社内アカウントでのログインを強制できます。 - ドメイン認証
企業ドメイン(@company.comなど)を検証し、そのドメインを持つユーザーの管理を強化できます。
TeamプランではSSOが利用できないため、パスワード管理は各ユーザーに委ねられる点に注意が必要です。
監査ログと利用状況分析(アナリティクス)の範囲
利用状況の可視化についてもプランによる差があります。
- Teamプラン
基本的な利用状況の確認は可能ですが、詳細な監査ログ機能は限定的です。 - Enterpriseプラン
高度な分析ダッシュボードが提供され、利用頻度、トークン消費量などの詳細な分析が可能です。また、コンプライアンス監査に必要なログの取得もサポートされています。
内部統制上、詳細な操作ログの保存が義務付けられている企業は、Enterpriseを選択する必要があります。
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契約・導入フローと決裁時の注意点
実際に導入を進める際の手順と、契約に関連する実務的な注意点を整理します。
Teamプランの契約手順(セルフサーブ形式)
Teamプランは、Webブラウザから即座に契約・利用開始が可能です。
1.OpenAIのアカウントを作成(または既存アカウントでログイン)

2.プラン選択画面で「Team」を選択。

3. ワークスペース名を設定し、クレジットカード情報を入力。
4. 最低2名分のシートを購入し、メンバーを招待。
既存の個人アカウントを移行する際は、個人データの扱いについて事前に確認し、メンバーに周知しましょう。
Enterpriseプランの導入フロー(セールス連携)
Enterpriseプランは、以下のフローで進みます。
1. OpenAI公式サイトの問い合わせフォームから問い合わせを送信
ChatGPT公式のEnterpriseプランページから「営業担当へのお問い合わせ」をクリックしてお問い合わせページを開きます。


2. 担当者とのミーティング(要件ヒアリング、デモ)
3. 見積もりの提示と契約条件の交渉
4. 契約締結(利用規約、DPA等の確認)
5. 環境セットアップとオンボーディング
リードタイムは数週間から数ヶ月かかる場合があるため、導入時期から逆算したスケジュール調整が必要です。
解約条件とデータのエクスポート・削除規定
出口戦略も契約前に確認すべき事項です。
- 解約
Teamプランは月単位または年単位での更新停止が可能です。Enterpriseは契約期間(通常1年)の中途解約が原則不可となります。 - データエクスポート
解約時にワークスペース内のチャット履歴やデータをエクスポートできるか、また解約後のデータ保持期間(削除されるまでの期間)についても、各プランの規約で確認が必要です。
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導入判断の総括:自社に適した選択肢はどれか
これまでの情報を踏まえ、自社がどの選択肢を取るべきかを整理します。
Teamプランでの導入が推奨されるケース
以下のような企業・組織には「Team」プランが適しています。
- 導入規模:特定の部署やプロジェクトチーム(数名〜数十名)での利用。
- 決済手段:法人クレジットカードでの支払いが可能。
- セキュリティ:データ学習の除外は必須だが、SSOや厳密な監査ログまでは求めない。
- スピード:今すぐ利用を開始したい。
Enterpriseプランが必須となるケース
以下のような企業には「Enterprise」プランが必須となります。
- 導入規模:全社的な導入(数百名以上)。
- セキュリティ:社内規定でSSO(シングルサインオン)が必須要件となっている。
- ガバナンス:詳細な監査ログの取得や、SOC 2準拠などの証明が必要。
- 決済手段:請求書払いが必須。
導入を見送り・API開発等を検討すべきケース
ChatGPTの法人プラン(SaaS版)ではなく、APIを利用した自社開発や他社ツールを検討すべきケースもあります。
- UIのカスタマイズ:チャット画面を自社業務システムに埋め込みたい場合。
- 従量課金制御:ユーザーごとの定額制ではなく、使用量に応じた厳密なコスト管理を行いたい場合。
- 特定データのRAG:社内ナレッジベースと高度に連携した回答生成を、独自のセキュリティ環境下で構築したい場合(ChatGPTの機能でも可能ですが、APIの方が柔軟性が高い場合があります)。
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まとめ
ChatGPTの法人契約は、企業が安全に生成AIを活用するための第一歩です。導入判断においては、以下のポイントが決定打となります。
- セキュリティ:Team/Enterprise共に「学習利用なし」は担保されるが、SSOや監査ログが必要ならEnterprise。
- コストと規模:スモールスタートならTeam(月額$30/人〜)、全社導入ならEnterprise(要見積もり)。
- 決済:クレカ払いならTeam、請求書払いならEnterprise。
自社のセキュリティポリシーと照らし合わせ、まずはTeamプランで特定部門から試験導入を行うか、最初から全社基盤としてEnterpriseを整備するかをご検討ください。
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